更年期の高血圧は「治る」の?——40・50代のための実践ガイド(専門家監修)
- 高本 玲代

- 4月25日
- 読了時間: 8分
更新日:10月16日

あなたの「ちょっと血圧が高い」は危険なサインかも
「健診で“血圧が高め”と言われた」「最近ドキドキして、頭が重い…」
——更年期に入ったころから、そんな小さな違和感が重なっていませんか。
若い頃は低血圧だったのに、40代後半から数字がじわっと上がってきた。
放っておいて大丈夫?このまま“治らない”の?
結論から言うと、更年期の高血圧は
”完全にゼロに戻す”という意味での「治る」ではなく
「整う」「コントロールできる」状態に戻す
ことが現実的な目標です。
生活を変えることで下がる余地が大きいのが、更年期女性の高血圧の特徴でもあります。
この記事では、3000件以上の更年期相談を受けてきた専門家の視点から、
今すぐできる対策と続けられるコツを、読みやすく、具体的にお伝えします。
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目次
更年期の高血圧、なぜ増える?——“治る/整う”の考え方
「更年期 高血圧 治る」で知っておきたい基礎知識(目標とリスク)
家庭での正しい測り方と“ブレ”の見極め(白衣・仮面・朝の高血圧)
食事で整える①:減塩×糖質コントロール×高たんぱくの実践
食事で整える②:1日のモデル献立と買い物リスト
体を動かして下げる:有酸素+筋トレ+“ながら”で代謝アップ
自律神経を整える:睡眠・ストレス・カフェイン/アルコール
「血圧が高くてふわふわしためまいが出ることもある」——その時どうする?
受診の目安と薬物治療との上手な付き合い方
よくある質問(HRT、サウナ、変動幅が大きい日 ほか)
まとめ:更年期の高血圧は“整えられる”。今日からの3ステップ
無料チェック:更年期の「長引き度」自己診断と時系列セルフケア
1. 更年期の高血圧、なぜ増える?——“治る/整う”の考え方

更年期は、女性ホルモン(エストロゲン)の急減で血管のしなやかさと自律神経の安定が揺らぎます。
その結果、血圧は上がりやすく“変動しやすい”状態に。
ここで大切なのは、「年齢のせいだから仕方ない」ではなく、生活で下げられる余地が大きいこと。
塩分、体重、睡眠、ストレス、運動、糖質の摂り方、たんぱく質の充足を整えるだけで、
安定域に戻る人は少なくありません。
治る=薬も生活も不要になる状態ではなく、合併症リスクを下げ、安全域に“整う”ことを目標に。
放置しない=脳・心臓・腎臓・血管のダメージは“静かに”進みます。

4. 食事で整える①:減塩×糖質コントロール×高たんぱくの実践
更年期の血圧コントロールは、塩分だけでなく糖質とたんぱく質がカギ。
減塩のキホン
まずは現状把握(加工食品・外食の頻度)。
“かける”調味から“つける”調味へ。だし・酸味・スパイスで満足度UP。
即席麺・漬物・スープバーは頻度を下げる。
糖質コントロール(糖質制限)の考え方
急な血糖上昇は交感神経優位を招き、血圧を押し上げやすい。
主食の量を見直す:一食の白飯は茶碗軽め、パンは全粒粉やライ麦へ。
“甘い飲み物ゼロ”を合言葉に
(砂糖入りコーヒー/紅茶、清涼飲料、加糖ヨーグルト飲料)。
ベジ→プロテイン→主食の順に食べると血糖急上昇を緩和。
厳格すぎる糖質制限は続かない/反動が出るため、“ゆるく長く”が基本。
高たんぱく食で代謝と血管を守る
目安:体重1kgあたり1.0〜1.2g/日(腎機能に懸念がある人は医療者に相談)。
良質なたんぱく質:魚、卵、鶏むね・ささみ、大豆製品(豆腐・納豆・高野豆腐)、
ギリシャヨーグルト。
たんぱく質が足りないサイン:疲れやすい、髪・爪が弱い、むくみ、空腹感が強い。
たんぱく質は血糖安定にも貢献→間食を減らし、血圧の“波”を抑える助けに。
ミネラル・脂質の整え方
カリウム(野菜・海藻・果物)でナトリウムの“押し出し”をサポート。
マグネシウム(ナッツ・豆・雑穀)で血管の緊張をゆるめる。場合によってはサプリも
オメガ3(青魚・えごま・亜麻仁)で炎症をしずめ、血管のしなやかさを後押し。

5. 食事で整える②:1日のモデル献立と買い物リスト
モデル献立(“ゆる糖質制限×高たんぱく×減塩”)
朝:納豆+豆腐みそ汁(減塩味噌)+ゆで卵+雑穀ごはん軽め+トマト
昼:サーモンとアボカドのサラダ(オリーブ油・レモン)+全粒粉パン半分
間食:素焼きアーモンド10粒 or ギリシャヨーグルト無糖
夜:鶏むねの塩麴グリル(“つける”塩)+小松菜と油揚げの煮びたし+冷ややっこ+きのこたっぷりスープ
飲み物:無糖の水・お茶(カフェインは午後は控えめ)
買い物リスト
青魚(缶詰も便利)/卵/鶏むね・ささみ/豆腐・納豆・高野豆腐/ギリシャヨーグルト/海藻/きのこ類/葉物野菜/トマト/アボカド/オリーブ油/レモン/ナッツ/全粒粉パン・雑穀米
6. 体を動かして下げる:有酸素+筋トレ+“ながら”で代謝アップ
ウォーキング:1日20〜30分、会話できる強度で。分割(10分×2〜3回)でOK。
レジスタンス:スクワット・かかと上げ・壁押し。重く息を止める動作は回避。
ながら運動:歯磨き中のかかと上げ、TVのCMでスクワット、キッチンで足首回し。
冷え/脱水は血圧の敵:冬は首・足首を温かく、夏はこまめに水分。
7. 自律神経を整える:睡眠・ストレス・カフェイン/アルコール
睡眠:就寝1時間前はスマホ断ち、40℃×15分の入浴、同時刻起床。
ストレス:1分の4-8呼吸(4秒吸って8秒吐く×5セット)、日記で感情を外に出す、自然や土に触れる。
カフェイン:午後は控えめ(目安:1〜2杯まで)。
アルコール:就寝3時間前以降は避け、週2日の休肝日。
ふわふわめまいや動悸がある日は、無理をせず静かな環境で休み、水分を少しずつ。カフェインやアルコールは一時的に避けましょう。
8. 「血圧が高くてふわふわしためまいが出ることもある」——その時どうする?
更年期は自律神経の揺らぎでふわふわ感が出ることがあります。
まず座る/横になる:転倒予防を最優先。
深呼吸:4-8呼吸で交感神経を落ち着かせる。
水分・塩分の偏りを見直す:水を少しずつ、前食の内容(塩分・糖質)をチェック。
家庭血圧を測る:極端な高値(例:上が180以上)や神経症状(ろれつ・麻痺・激烈な頭痛)は救急受診を検討。
9. 受診の目安と薬物治療との上手な付き合い方
受診の目安:家庭血圧135/85以上が続く、上が160以上、ふわふわめまい・頭痛・動悸を繰り返す、家族歴・糖尿病・脂質異常など合併。
診療科:まずは内科/循環器内科。更年期症状が強い場合は婦人科と並行。
薬について:
生活改善で下がらない場合は降圧薬を併用。(降圧剤を使用して生活改善を並行して行うと降圧剤が不要になる場合もあります)
むくみ・ほてりなど更年期特有の体感を考えて薬を調整することが多い。
少量を組み合わせて副作用を抑える工夫も。
HRT(ホルモン補充療法)と血圧:影響は剤形や体質で異なるため、開始後は家庭血圧で推移を確認。上昇が続く場合は主治医に相談を。
10. よくある質問(Q&A)
Q1:厳しい糖質制限は必要?
A:続かない制限は逆効果。“甘い飲み物ゼロ”“主食は軽め”などゆる糖質が現実的。
高たんぱくをセットで。慣れてくると少しずつ糖質も減らせます
Q2:サウナや温冷交代浴は?
A:急激な温度差は大きな血圧変動を招きます。
長湯・水風呂は避け、短時間×水分補給を徹底。
Q3:変動が大きい日が多くて不安です
A:更年期は変動しやすい時期。数値+体調メモでトリガーを特定。朝のみ高いなどのパターンは医療者と共有を。
Q4:サプリは何を?
A:まずは食事。必要に応じてオメガ3・マグネシウム・ビタミンDなど。ただし薬との相互作用に注意し、自己判断で多剤併用はしない。
Q5:目標はどのくらい?
A:家庭血圧135/85未満を一つの目安に(最終目標は個別に)。
“安定してその域にある”ことが重要。
11. まとめ:更年期の高血圧は“整えられる”。

今日からの3ステップ
測る:朝晩+体調メモ。変動の“原因”を見つける。
食べる:減塩×ゆる糖質×高たんぱく。甘い飲み物をゼロに。
動く/休む:毎日20分の歩行+就寝前のスマホ断ち。
——小さな一歩の積み重ねが、3ヶ月後の血圧を変えます。
12. 無料チェック:更年期の「長引き度」自己診断と時系列セルフケア
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付録:買い置きしておくと続く“更年期フード”ミニカタログ
たんぱく質:ツナ缶・サバ缶・鶏むね・卵・納豆・高野豆腐・ギリシャヨーグルト
野菜/海藻/きのこ:冷凍ブロッコリー・カットわかめ・しめじ・えのき
主食の見直し:全粒粉パン・雑穀米(白米は“軽め”)
味付け:減塩みそ・レモン・酢・こしょう・ガーリック・ハーブ
間食:素焼きナッツ・無糖ヨーグルト・無糖炭酸水
本記事は、ライフステージ支援の専門家監修のもと、更年期の健康支援の実務で得られた知見をもとに構成しています。医療行為や診断を目的としたものではありません。体調に不安がある場合は、必ず医療機関に相談してください。





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