閉経時期がわかる計算方法|“正確な日付”は出せないけれど、あなたの「閉経までの目安」を賢く見積もる方法【専門家監修:女性の健康支援の専門家】
- 高本 玲代
- 2023年7月20日
- 読了時間: 8分
更新日:3 日前

「そろそろ閉経だと思うけれど、いつ終わるのかがわからない。
仕事の予定も、旅行の計画も立てづらい──。」
40〜50代の方とお話ししていると、必ず出てくるお悩みです。
ネットで“閉経時期の計算方法”を探しても、ぴったりの日付を出す公式は見つからない。
それもそのはずで、閉経は個人差がとても大きく、事前に正確に計算することはできません。
ただし、“範囲”や“目安”を高い確度で見積もる方法はあるのです。症状検索エンジン「ユビー」 by Ubie
本記事は、筆者の記事内容を土台に、最新の知見と実務で使えるワークを加えて再構成した「保存版」。
そもそも閉経の定義
月経パターンから推定する実践フロー(STRAW+10の考え方)
FSH/E2 と AMH をどう理解し、どう役立てるか
ピル/ミレーナ、子宮摘出後など特殊ケースでの見方
喫煙や家族歴など個人差を左右する要因まで、“計算はできない”前提で、最短で実生活に役立つ推定法をまとめます。
<目次>
目次
結論:閉経は“計算”できない。できるのは範囲の推定
基礎:閉経の定義と更年期の幅(平均値と個人差)
月経パターンから推定するフロー(STRAW+10準拠)
血液検査をどう使う?──FSH/E2の限界と活用
AMHでわかること・わからないこと(5年以内予測の精度)
特殊ケース:ピル・ミレーナ使用中/子宮摘出後の判定
個人差を動かす要因(喫煙・家族歴・体格 ほか)
7分でできる**「あなたの閉経推定ワーク」**
よくある質問(Q&A)
まとめ:推定は「複数の材料×定点観測」で磨く
1. 結論:閉経は“計算”できない。できるのは範囲の推定

閉経は最後の月経から12か月間、出血がない状態を“後から振り返って”確定します。
したがって事前に日付を計算で確定することはできません。
ただし、月経の乱れ方や無月経期間、年齢、ホルモン値などを組み合わせると「閉経までの目安の範囲」は見積もれます。
2. 基礎:閉経の定義と更年期の幅(平均値と個人差)
つまり、「みんなが50歳で閉経」ではありません。個人差の把握が、最短の不安解消です。
3. 月経パターンから推定するフロー(STRAW+10準拠)
閉経に至るプロセスは、国際的な枠組みSTRAW+10で段階化され、月経の乱れ方が中心指標です。次の2点が**“閉経が近いサイン”**として重要。
連続する周期で7日以上のズレが持続 → 早期移行期(early transition)の目安
60日以上の無月経が出現 → 後期移行期(late transition)の目安最終的に12か月連続の無月経で閉経確定。
ホルモン値は補助情報に留まります。PMC+1
実務ヒント
カレンダーやアプリで「周期差」「60日超の空白」をマーク。
年齢が45歳以上で上記のサインが出てくると、閉経が見えてくるフェーズに入った可能性が高まります(個人差あり)。PMC
4. 血液検査をどう使う?──FSH/E2の限界と活用

単回測定は“揺れ”に弱い
周閉経期はFSHやエストラジオール(E2)が大きく変動。1回の採血で判定するのは難しいのが実情です。国立生物工学情報センター
それでも役立つシーン
月経で判断しにくい(例:IUD/ピルで出血が読めない、子宮摘出後 など)
他疾患の除外や治療方針の参考が必要な時
参考になる“目安”
FSH:30 mIU/mL超は閉経・低エストロゲン状態の客観的指標の一つ。国立生物工学情報センター
E2:20 pg/mL未満は閉経相当の低値の目安。メドスケープ
数値は検査法や時期でぶれます。“絶対の境界線”ではないことを前提に、推定材料の一つとして使いましょう。
5. AMHでわかること・わからないこと(5年以内予測の精度)

AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣予備能の指標。年齢と組み合わせると、「何年以内に閉経に至る可能性か」の確率モデルに役立ちます。
例:AMH<0.2 ng/mLでは、45〜48歳で中央値約6年で閉経に至ったという長期追跡研究。PMC
大規模レビューでも、年齢+AMHはFSHより予測精度が高い傾向(24〜36か月の予測で良好なAUC)。ただし診断用ではなく、あくまで“予測補助”。PMC
研究間のばらつきもあり、年齢単独にAMHを足しても追加価値が小さいとする報告も。「高AMH=閉経が近くない」ほうが当たりやすいという指摘もあります。Oxford Academic
要点:AMHは**「閉経が“差し迫っていない”ことの確認」に向き、“いつ”を断定する検査ではありません。**PMC
6. 特殊ケース:ピル・ミレーナ使用中/子宮摘出後の判定
ピル/ホルモンIUS(ミレーナ) 人工的な出血や無月経が起こるため、月経パターンでの判定は不可。ピルは一旦使用を停止し、年齢・症状・必要に応じてFSH/E2を補助的に評価。
子宮摘出後(卵巣は温存) 出血で判断できないため、FSH高値(例:≥30–40 mIU/mL)+E2低値(例:<20 pg/mL)を複数回確認して閉経相当とみなす臨床運用が行われます(検査法により閾値は変動)。
7. 個人差を動かす要因(喫煙・家族歴・体格 ほか)

閉経の年齢は遺伝・環境・生活要因の“足し算”です。
喫煙:早い閉経のリスク上昇(ハザード比1.5前後)、禁煙でリスク低下。PLOSmenopause.org.au
家族歴:母・姉妹の閉経年齢はあなたの推定のヒント。遺伝の寄与が示唆。Oxford Academic
体格・運動:報告は一致しませんが、やせすぎは早くなる傾向の指摘、運動習慣は遅い群に多い観察も。PLOS
まとめ:喫煙は強い要因。一方で体格・運動は方向性の示唆に留まり、個人差が大きいと理解を。
8. 7分でできる**「あなたの閉経推定ワーク」(保存版)
目的:日付ではなく「1〜3年/3〜5年/5年以上」といった目安の幅を、自分の材料で見積もる。

Step 1|年齢&月経パターン
45歳以上で、7日以上の周期差が続く → 移行期入りの目安。
60日以上の無月経を経験 → 閉経が視野。カレンダーに「60+」と明記。PMC
Step 2|症状と日常
ホットフラッシュ・睡眠の質・気分変動を週1回スコア(0〜10)。波の周期性を可視化(季節・仕事の繁忙期と重なりやすい)。
Step 3|血液検査(必要に応じて)
FSH/E2:単回ではなく、数か月おきに同じ条件で。FSH高値+E2低値が反復すると、閉経相当が現実味。国立生物工学情報センターメドスケープ
AMH:“差し迫っていない確認”や中期スパンの目安に。低AMH×年齢で5年以内の確率が上がるモデルが多い。PMC
Step 4|要因の“調整”
喫煙:続けているなら早まる補正を。禁煙で推定を見直し。PLOS
家族歴:家系的に遅め/早めなら、自分の推定にも反映。Oxford Academic
Step 5|暫定“幅”の決定
例)「48歳・60日超あり・FSH高めが続く・AMH低い・非喫煙」→ 1〜3年の幅を暫定。
例)「50歳・周期差はあるが60日超なし・AMH高め」→ 3〜5年(または5年以上)を暫定。→ 3〜6か月ごとに記録と指標を更新し、幅を狭める。
9. よくある質問(Q&A)
Q1. “閉経計算ツール”で日付が出ました。信じてよい?
A. 正確な日付は出せません。
出せるのは「確率」や「範囲」です。ツールは目安として活用し、月経パターン(60日超・12か月無月経)を主指標に。
Q2. 基礎体温は役に立ちますか?
A. 排卵の有無や周期の把握に有用。ただし周閉経期は無排卵が増え、体温もギザギザになりがち。“全体の流れ”を見る道具として。
Q3. 子宮摘出後で判断できません。どうすれば?
A. FSH高値+E2低値の繰り返しで閉経相当を推定する臨床運用があります(数値閾値は検査法により揺れます)。神奈川県看護協会
Q4. AMHは受けたほうがいい?
A. 必須ではありません。ただし5年以内の見込みなど中期スパンの推定には役立つ場面あり。費用対効果と目的を考えて選択を。PMC
Q5. FSHやE2はいつ測る?A. 同じ条件・同じ時刻帯で反復測定がコツ。単回での断定は不可。FSH>30 mIU/mL、E2<20 pg/mLは低エストロゲン状態の目安(検査法依存)。国立生物工学情報センターメドスケープ
10. まとめ:推定は「複数の材料×定点観測」で磨く
閉経は“計算”できない。推定ならできる。カギは月経パターン(7日以上のズレ/60日超の無月経/12か月無月経)。PMC
FSH/E2は補助情報。単回より反復で。AMHは「近くない確認」や5年以内の推定に強み。国立生物工学情報センターPMC
喫煙・家族歴など個人差の要因を推定に反映。記録更新で幅を狭める。PLOSOxford Academic
平均は50歳前後だが、人それぞれ。あなたの計画は、あなたの記録から生まれます。日本産科婦人科学会
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参考・根拠(主要)
日本産科婦人科学会「更年期障害」:閉経の定義・日本人の平均閉経年齢。
Ubie Q&A「閉経時期が分かる計算方法はありますか?」:正確な計算は困難、月経経過から段階把握。症状検索エンジン「ユビー」 by Ubie
STRAW / STRAW+10:月経パターン中心のステージング(7日以上ズレ、60日無月経、12か月無月経)。PMC
StatPearls(Menopause):FSH>30 mIU/mL、E2<20 pg/mLを閉経相当の目安として。国立生物工学情報センター
Medscape(Estradiol):E2 ≤20 pg/mLの参照域。メドスケープ
長期追跡研究・総説(AMH):年齢+AMHで5年内予測の有用性、ただし診断用ではなく補助。PMC+1Oxford Academic
子宮摘出後の実務的な判定例(地域資料):FSH高値+E2低値での推定。神奈川県看護協会
本記事は「女性の健康支援の専門家」監修のもと、国内学会情報と国際的なステージング/レビュー論文を参照して作成しています。個別の診断・治療は、年齢・既往歴・服薬・家族歴等により異なります。気になる症状や不安があれば、信頼できる医療者にご相談ください。
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