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執筆者の写真高本 玲代

更年期のつわりのような吐き気はいつまで続く?

更新日:10月12日



40代以降、なんだかつわりのような吐き気を感じることがある、胃がむかむかする、つわりのようなムカつきを感じる・・いったいいつまで続くのでしょうか?そんなご相談をいただくことがあります。


40代妊娠していないのに【つわりのような症状】の自身の体験


実は私自身更年期障害が一番ひどかったときは突然の吐き気やめまいに悩まされました。

まさに感覚は「つわり」のよう…子供を保育園に迎えに行く時間の前に吐き気やめまいを感じた時は本当に「どうしよう」と思ったものです。


その時は理由がわからず本当に落ち込みましたが、「更年期障害」の症状だということが分かって対処をすれば改善されました。


こうしたつわりのような症状がどうして更年期に起こりやすいのか、いつまでつらい症状が続くのか、そして対処方法はあるのかといった内容を今回はお伝えしていきます。



更年期の吐き気(悪心)の症状とは


皆さんに吐き気の状況をお伺いすると下記のような回答をいただきます。



胃がムカムカする

嘔吐してしまう

吐き気に伴い頭痛も感じる

実際私が一番多く感じたのは吐き気に伴う頭痛でした。


また、普通に食事をしても胃がムカムカするということもよくありました。


更年期に吐き気が起きやすくなる理由



原因その1 女性ホルモンの変動


更年期に入り、女性ホルモンの分泌が減ると、自律神経が乱れやすくなります。


すると、胃が正常に動かなくなり、唾液の分泌が減ったり、消化を助けるアミラーゼという酵素が減少して、消化力が弱くなってしまうため、すぐ胃もたれなど不快感を感じやすくなってしまうのです。


また、体力的・精神的な健康状態を良好に保つ自律神経は、活動時に働く『交感神経』とリラックス時に働く『副交感神経』がバランスよく機能することで成り立っています。


しかし、更年期による卵胞ホルモンの低下が起こると、副交感神経の働きが鈍くなってしまいます。


その結果、交感神経が優位な状態が続いてしまい、吐き気や胃のむかつきなどの症状があらわれるのです。


胃腸の働きは主に副交感神経の機能によって支えられているため、その機能が失われることで著しくダメージを受け、更年期前よりも不調が出やすくなります。


また、更年期に伴う片頭痛の症状で吐き気が出てくることもあります。*1


原因その2. ストレスによる吐き気


更年期は、ホルモン変動による身体的変化だけでなく、心理的な負担も大きくなります。この時期、女性は仕事、家庭、健康の問題など、多くのストレス要因に直面することが多く、これが吐き気の発生に寄与します。


  • ストレスと自律神経: ストレスは、自律神経系に大きな影響を与えます。


    自律神経には、交感神経(興奮状態を引き起こす)と副交感神経(リラックス状態をもたらす)があり、通常はこの2つがバランスよく機能しています。


    しかし、ストレスが加わると、交感神経が優位になり、胃腸の働きが抑制されます。その結果、食べ物の消化が妨げられ、胃のむかつきや吐き気を感じることがあります。


  • コルチゾールの影響: ストレスを受けると、体はコルチゾールというストレスホルモンを分泌します。このホルモンは、消化器系の機能を低下させるだけでなく、吐き気や腹部不快感を引き起こすことがあります。


    特に、更年期の女性はホルモンバランスの乱れがストレス感受性を高めるため、ストレスに対する身体の反応が過敏になり、吐き気を感じやすくなります。


更年期以外の吐き気の原因や可能性について


更年期以外でも吐き気が起こる病気は以下の通りです。ですから、更年期と決めつけずまずは主治医に相談してみるのがおススメです。


特に胃腸そのものに問題ないかは定期健診などを利用してチェックするのがおススメです。


急性胃炎
慢性胃炎胃潰瘍
十二指腸潰瘍
胃がん虫垂炎(盲腸炎)
腹膜炎逆流性
食道炎腸閉塞(イレウス)
急性すい炎慢性膵炎(すいえん)
急性肝炎
胆石症
胆のう炎
メニエール病
突発性難聴
くも膜下出血
脳出血
脳腫瘍
緑内障
食べ過ぎ・飲みすぎ
乗り物酔い
薬の副作用
妊娠のつわり
甲状腺の病気


こんな吐き気はキケン!要注意


更年期だと思っていたら深刻な病気の場合もあります。


こんな症状はすぐに受診をしましょう


吐き気とともに耐えがたい頭痛が起こる場合


これまでに経験したことのないような強い頭痛・めまい・吐き気などが突然起こる場合は、脳卒中などの重大な病気の可能性があります。すぐに救急病院を受診しましょう。


吐き気とともにグルグル回転するようなめまいや耳鳴りが起こる場合


めまいと吐き気の発作が繰り返し起こるメニエール病などの可能性があります。


ストレスや心身の疲労が蓄積すると発作が起こりやすくなるといわれているため、まずは安静にして、医療機関で適切な治療を受けましょう。



更年期の吐き気はいつまで続く?



女性ホルモンの急激な低下に体が慣れるまでの期間、「更年期が抜けた!」という感覚は人によって違うのですが、50代後半〜60歳前半ぐらいになると症状が治まる人が多いとされています。


実際インタビューをすると50代後半で落ち着いたという方が多いです。


更年期の終わりのサインについてはコチラでお伝えしています。


更年期のつわりのような吐き気の改善方法


大きくは医療機関の受診やセルフケアになります。おススメは受診とセルフケアの掛け合わせになります。


①ホルモン治療(HRT)



ホルモン補充療法(HRT)とはエストロゲンを補うことで、更年期障害を改善する治療法です。


HRTにはいくつかの方法があります。通常、子宮のある方は子宮体がんを予防するために、黄体ホルモンという女性ホルモンを一緒に使用します。


他方子宮がない方はエストロゲンのみを利用します。


私の場合は子宮はあるのですが、ミレーナを入れているためエストロゲンのみの利用をしています。


ミレーナについての体験記はコチラでご紹介しています。


②漢方



中国でまとめられた漢方の古典「皇帝内経素問(こうていだいけいそもん)」では、女性は7年ごとに節目があり、体や心に変化が起こると捉えています。


これによると、42歳あたりから白髪が生え始めるなど、加齢の兆しが見え始め、49歳ぐらいで閉経にいたるというわけです。


昔は更年期や更年期障害(更年期症状)という概念こそありませんでしたが、その時期に起こったさまざまな不定愁訴に対しては、漢方薬が使われていました。


今でも、検査では異常がないけれど、本人はつらい症状を持っている、いわゆる不定愁訴の治療は漢方治療がもっとも得意とするところです。更年期障害(更年期症状)は漢方薬の使われる頻度が高い疾患のひとつといえます。


更年期に現れるさまざまな不定愁訴は、気・血・水のうちの、気や血の不調から来ていると捉えられています。


漢方薬のよいところは、複数の症状に対して効果が現れることです。


また、漢方薬はその人の体質や体格などを考慮して処方されるので、その人とぴったり合えばよく効きますが、合わない場合はなかなか症状が改善されないということもあります。


その場合は、他の漢方薬に切り替えるなどの対応が必要となります。





女性の吐き気によく使われある漢方薬は下記のとおりです






吐き気やめまい、頭痛などに悩む方に処方される漢方薬です。急性胃腸炎、下痢などに使われる場合もあります。






頭痛や吐き気、食欲不振などの方に用いられる漢方薬です。悪寒や胃腸炎などの方にも使われます。






嘔吐や胃痛、食欲不振などの方に用いられます。消化器系の機能を高める作用があるといわれています。


③生活習慣の見直し



更年期の不調をきっかけに下記のようなことを見直すのがおススメとされています。


私も受診+生活習慣の見直しでずいぶん体はらくになりました。薬だけ、サプリだけ、ではなかなか完全に体調を整えるのは難しいことを実感しています。



□良質な睡眠で自律神経を整える
□たんぱく質と食物繊維が豊富でバランスの良い食事を
□ウォーキングやヨガなどの運動でこまめに体を動かす
□規則正しい生活をする
□がん検診や婦人科の検査を定期的に受ける
□信頼できるかかりつけの婦人科医を見つける

女性のための統合ヘルスクリニック イーク表参道副院長・高尾美穂先生より



④サプリの活用



毎日の健康管理をさらにスムーズに進めたい場合には、サプリメントの摂取もおすすめです。


特にエクオールが含まれるサプリメントは、更年期症状の緩和に役立つと考えられています。





体内に入った大豆イソフラボンが腸内で代謝されて生じるエクオールは、更年期によって減少する卵胞ホルモンと似た働きをすることがわかっています。


エクオールのサプリメントは医療機関での治療とともに取り入れても問題ないとされているため、毎日のケアに取り入れてみるといいでしょう。


ただし、サプリの利用は処方薬との併用に問題ないかを医師や薬剤師に必ず確認をしてください。


経口ホルモン補充療法が原因になることも



更年期の治療、経口ホルモン補充製剤によって胃腸障害、悪心、嘔吐、消化不良などの消化器症状の副作用が出ることがあります。


対策としては服用時間を食後にしたり、改善されない場合は投与量を選らしたり、経皮製剤に変更するなどの方法があります。


症状が続くようであれば、消化管の検査を行う必要があります。*2


更年期の吐き気はストレスや疲れの対処が大きなカギに


更年期は自律神経の乱れが起きる時期であるとともに、ストレスが大きな時期にもなります。子育て、子供の進学、巣立ち、仕事の責任、夫婦の関係、親の介護、人間関係など様々な変化の多い責任世代でもあります。


そういったストレスから更年期障害が深刻になりご相談いただくケースも後を絶ちません。


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